昔、キャンプの食事でみんなが敬遠していたチョッとにおいが変だ
という肉、「腐りかけの肉が一番うまい」と食べていた男がいました。
それ以来、何を食っても死なない男と評されていましたが何年か後、
牡蠣に当たって三日も会社を休み、「なんで彼が牡蠣に当たるんだ?」
と驚かれていました。
それはともかく、少し痛んだみかんがとても甘いことってあります
ね。管理された醗酵は、納豆、たくあん、酒、味噌、醤油などなど、
日常生活で沢山食べています。この醗酵が得意な日本人がなぜ茶葉の
醗酵に気が付かなかったのか疑問は残りますが、醗酵による紅茶が日
本人になじみ易いことも理解できそうです。
醗酵食品は概して味はいいが匂いは評価できないものが多い、
しかし紅茶は醗酵によって、味も匂いも良くなる不思議な食品です。
摘み取った茶葉はすでに醗酵が進行中で製茶の工程がこれをコント
ロールします。
前回のお話では、探検隊が工場にある摘み取ってきた茶葉の受取
セクションを見学したことを紹介しました。そこは新鮮な茶葉の香
気に満ち溢れた清清しい場所でした。工場主任の「一芯二葉」など
茶摘の基礎的な説明を受けました。今回は次の工程へと進みます。
なじみのない専門用語になりますが、ウイザリング(withering=しおれさせる) 日本語では「萎凋 (いちょう)」という工程に入って行きます。茶葉の水分を30-40%抜く工程で一般的にこの装置は工場の2階に設置され仕上がったものを階下の機械に流し落とす仕組みです。
茶葉をウイザリング槽に入れ10-14時間を掛けゆっくり乾燥して行きます。
槽の底は金網になっていて下から一定の温度・湿度に管理された風が
吹き上がり、30cmほどの深さに積まれた茶葉を通過していきます。
主任が片隅に残っていたウイザリングが終わった茶葉を見せてくれま
した。新鮮な茶葉の面影は消え、形は半干しでシナシナ、葉の一部が薄
黒く変わり始めていました。「エエ?」と思った探検隊に、「この位が
丁度いい」と言った主任の顔を思い出します。
【写真はマックウッド・ラブキャリー工場のウイザリング槽です。】
紅茶の工程は=萎凋 → 揉捻 → 発酵 → 乾燥です、醗酵は乾燥の熱で止まります。
緑茶と比較してみますと、
緑茶の工程は= 蒸す → 冷却 → 揉捻 → 乾燥となり、醗酵は蒸す工程の熱で止まります。
つまり、醗酵させません。
《茶の醗酵》紅茶など茶の醗酵は微生物を利用したものではなく、茶の葉に含まれる酵素による「酸化発酵」であるとされてます。
醗酵の多くは酵母など微生物の活動で進みますが、醗酵そのものは微生物が持つ酵素によるものだそうです。従って微生物から抽出した酵素だけで醗酵は可能で酸化醗酵と言います。我々人間の体内でも多くの酵素が活躍していると言われます。
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